医局人事があまりにも不公平だと感じた場合の医師の転職

医局人事があまりにも不公平だと感じた場合の医師の転職

医局と民間医療機関のメリット・デメリット

医局人事があまりにも不公平だと感じた場合の医師の転職

現在のように後期臨床研修制度が導入される以前の大学病院の医局は、その診療科における人事権を完全に掌握していました。 現在では医局の影響力は衰えていますが、それでも臨床と研究の両方を極めたいと考える医師にとっては魅力的な存在であり、医局に残る医師も多くいます。 そのような医師でも、人事制度はあまりにも不公平だと感じ、医局を辞めて民間の医療機関に転職する場合があります。 医局に残る意味とはいったいどんなことで、民間医療機関に移ることの意味とはどんなものなのでしょうか。

 

医局にいるメリットとは

大学病院の医局に残る医師は、基本的に臨床と研究を両立させようと考える場合がほとんどです。
臨床はその診療領域での専門症例を多く手掛けることができ、その領域におけるスキルや専門性を高めることができます。
また研究領域では特定疾患などの原因や新たな治療法、手術方法などを研究していくことになります。
すなわちどちらも医師として医療の進歩に大きく貢献できることになります。
またそれ以外の側面も存在しています。
一般的に大学病院には多くの関連病院があり、医局は医師をこれらに派遣しています。
これは医師にとってもメリットがあり、関連病院にパイプやネットワークを構築できるのです。
すなわち、将来的に大学病院があるエリアで勤務もしくは開業しようとした場合に、構築したパイプやネットワークを活かすことができるのです。

医局に対する不公平さの原因とは

医師に対し、医局は臨床や研究に対する機会を公平に与えるべきですが、医局の医師に対する評価基準は非常にあいまいです。
民間医療機関であれば、受診患者数が増える、専門領域で功績を作ったなど明確な指標が挙げられます。
しかしながら医局ではそれらは全て医局トップである教授の意向が大きく反映されるため、基準そのものが周囲には分かりません。
それが原因となって、不公平さを感じるようになってしまいます。
また医局の意向に対して反発する医師は医局を辞めていく人ですが、残る医師は一切文句を言えない状態になってしまいます。
これも医局の息苦しさの原因であり、不公平さにもつながると考えられます。

医局を辞めるデメリットとは

医局の理不尽さに嫌気がさして、医局を飛びだしてしまうとどのようなデメリットがあるのでしょうか。
最も大きなデメリットは、最先端の医療技術に触れられなくなることです。
医局はやはりその地域での最先端医療を担う現場です。
その技術を自分のものにできないデメリットは間違いなく生じます。
そしてもう一つは、医局という大きな後ろ盾を失ってしまうことです。
医局が持つ、その地域の関連病院に対する影響力は絶大です。
それを失ってしまうため、医師としてのキャリアアップの道を自分で切り開いていかなくてはならなくなってしまいます。 

民間医療機関に移るメリットとは

では医局を辞め、民間医療機関に勤務するメリットとはどんなものがあるのでしょうか。
医局の医師に対する評価基準があいまいであるのに比べて、民間医療機関は明確です。
そして、基準をクリアした場合の評価もはっきりしています。
つまり年収や待遇という形で表わされるのです。
その分、基準に達しない場合も同様に表されてしまいます。
しかしながら、これが職業というものなのかもしれません。

医局に残るか民間医療機関に移るかの選択

上記のように医局に残る場合も、民間医療機関に移る場合も、どちらにもメリットやデメリットは存在しています。
これらをじっくりと考慮したうえで進む道を選択すべきであり、決して感情に任せて突き進むべきではありません。
しかしながら医局から飛び出し、自らの力で勤務先を見つけ、その勤務先を自分の後ろ盾にすることができれば、それは決して間違った判断ではなかったと言えるのではないでしょうか。
医局に残ることは安全な道かもしれませんが、自分の道を自分で切り開いていきたいと考えるのであれば、そこにやりがいも生まれてくるはずです。