女性医師の産休や育休後の再就職による現場復帰

女性医師の産休や育休後の再就職による現場復帰

復帰しやすい環境の医療機関は多い

女性医師の産休や育休後の再就職による現場復帰

高齢化によって医師不足は深刻な状態にあります。 そのような状態にありながらも、女性医師の出産や育児で休職や離職後の現場復帰は難しい状態にあると言われています。 しかしながら、女性医師を取り巻く環境は少しづつ変わってきています。 女性医師が現場復帰するための方法とはどのようなものなのでしょうか。

 

女性医師が復帰しづらい理由とは

医師不足が叫ばれているにもかかわらず、女性医師が復職しづらいのにはどのような理由があるのでしょうか。

ブランクが長期になりやすい

女性医師が離職する場合、その理由のほとんどが出産、育児だと言われています。
妊娠後期はもちろん、出産後や育児期間中は仕事ができなくなります。
しかも1年などの短期間でなく、数年間医師の仕事から離れざるを得なくなってしまいます。
数年間医療の現場から離れてしまうと、日々進歩している医療技術についていくことができなくなってしまいます。

復帰後も出産前のように勤務できない

出産後、しばらくしてから復帰したとしても、子供はまだ幼く、手がかかるのは当然です。
出産前のように長い勤務時間や当直、オンコールなどには対応できず、決まった時間には帰宅しないと育児はできません。

周囲への遠慮

長い勤務時間に対応できず、当直やオンコールなどにも対応できない状態で現場復帰したとしても、周囲のスタッフに迷惑をかけてしまうとの意識が働き、復帰しづらいと考えてしまいます。

国の取り組み

厚生労働省は仕事と家庭を両立させるため、平成21年に育児・介護休業法を改正し、平成24年7月からは従業員数100人以下の事業主にも適用しています。
これにより3歳に満たない子供の親に対しては、本人の希望があれば短時間勤務制度を設けなければならなくなりました。
一日の労働時間は原則6時間、残業は免除、子供が病気の際に仕事を休むことができる、深夜勤務は制限、転勤への配慮などが盛り込まれており、育児中の女性医師にも働きやすい環境を整える内容になっています。

医療機関の取り組み

医師不足に苦しむ医療機関は、離職していた女性医師が復職してくれることには大きなメリットがあります。
そのため上記の育児・介護休業法への適切な対応だけでなく、既存スタッフたちの理解を得られるよう、意識改革を進めています。
また女性医師の育児支援のため、院内に保育所を設けたり、子供が病気でも預けることができる病児保育室を設けているところもあります。
これ以外にも、各医療機関で独自の施策を打ち出しているところもあります。
時短勤務の希望者には、週20時間から30時間の勤務時間を満たすのであれば自由に勤務できる制度を設けているところ。
通常なら常勤医師一人分である仕事を二人で担当する仕組みを取り入れるところ。
外来を中心にして30人以上のサポート人材を配置しているところなどもあり、女性医師が働きやすい環境は以前と比べて格段の進歩を遂げています。

復職支援プログラム

女性医師に復帰してもらうための受け入れ態勢は整いつつありますが、育児で離職した場合に多い長期間のブランクは復帰の壁になっています。
そこでこのような女性医師の復帰に向けた施策が復職支援プログラムです。
全国の自治体、医療機関などが共同で実施しており、セミナーや短期トレーニングだけでなく、実際に働きながら学べるワーキングコースや希望に応じた研修まで実施しています。
また復職先の紹介まで行っているため、長期間のブランクがある女性医師にとっては非常に有効な施策と言えます。

転職の際の留意点

女性医師が産休や育休後に復帰しやすい環境は、以前とは比較にならないほど整ってきています。
しかしながら、これらの環境が整ってきているのは大規模医療機関が中心です。
中小病院などではまだまだ完全ではない所も多いはずです。
長いブランクの後に復帰しようと考えるのであれば、どのような対応策をとっている医療機関なのか、またそもそも対応策があるのかなどをしっかり調べてから応募すべきでしょう。