年収に特異な傾向がある

急増する肺がんと高齢患者がニーズを高める呼吸器内科医師

高齢化に伴って増加する肺炎や肺がん、肺気腫、睡眠時無呼吸症候群など、呼吸に関わる臓器の疾患を診る呼吸器内科のニーズは以前にも増して高まりつつあります。 また近年注目されている禁煙治療も呼吸器内科の領域であるため、呼吸器内科に注力する医療機関が増えてきています。 このような呼吸器内科の転職事情は、現在どのような状況なのでしょうか。 詳しくご説明しましょう。

求人倍率は非常に高い呼吸器内科

平成22年の厚生労働省必要医師数実態調査によると、呼吸器内科の必要医師数は常勤医師と非常勤医師などを含めると801.3人で、そのうち常勤医師は731人です。

必要医師数の倍率は1.20となり、この倍率はこの調査の実施対象科の中で、リハビリ科、救急科、産科に次いで高倍率となっています。

内科系における必要常勤医師数だけで言えば、一般内科、循環器内科、消化器内科の次に必要医師数が多い診療科であり、求人倍率が高いと言えます。

多くの医療機関で求められる呼吸器内科医師

呼吸器内科を標榜している医療機関は非常に幅広く、大規模医療機関からクリニックにまで至ります。

大規模医療機関では精密検査時に肺生検などをする必要があることなどから、高度なスキルを持つ、特に専門医が求められています。

また手術などの際には呼吸器外科や放射線科などと連携する必要もあり、他の診療科と連携できる経験や能力も求められます。

クリニックなどでは、呼吸器内科を標榜していても一般内科や老人内科などを含めて対応できるジェネラルなスキルを持つ医師が求められています。

特に慢性疾患に対する治療だけでなく、急増している高齢者に対する治療では呼吸管理が重要になってきます。

すなわち、呼吸器内科の医師は幅広い医療機関から求められているのです。

転職に有利な医師とは

医療機関の規模や診療内容によって求められる医師は異なるため、求められる経験やスキルを持ち合わせている医師は転職の際に有利になります。

年収面だけでなく、待遇面なども含め、交渉も可能でしょう。

大規模医療機関では専門医資格を保有していれば有利であり、クリニックや高齢者のための療養施設、在宅医療などではジェネラリストとしての能力だけでなく、患者とのコミュニケーション能力を備えていると有利に交渉もできるはずです。

すなわち、自分の経験やスキルなどと医療機関との要望が合致するかどうかを見極めたうえで求人に応募することが重要となります。

呼吸器内科医師に対する求人

呼吸器内科医師に対する求人では、医療機関の規模によって異なる傾向が見られます。

大規模医療機関では専門医や指導医を求める傾向があります。

一方、一般の医療機関からは呼吸器内科での経験が豊富でジェネラリスト医師が求められており、一般内科などにも対応しなければならない必要性ゆえでしょう。

また高齢者の療養施設や在宅医療の現場では、呼吸管理の必要性が高く、呼吸器内科医師のニーズが高い状態になっています。

このようにニーズが高い医療機関がある一方で、急性期医療機関は診療科そのものが集約されているため、呼吸器内科医師のニーズはそれほど見られないのが現状です。

これら以外で特徴的なのが、製薬会社からの求人が多いことです。

近年では肺がんの罹患率が非常に高くなっており、製薬会社がこれに対応するための医薬品を研究開発する姿勢が影響していると考えられます。

求人が多い地域は、大都市圏の東京や大阪などであり、他の診療科と同様の傾向を示しています。

呼吸器内科医師の年収

呼吸器内科医師の年収は、1,400万円以上の年収を得ているのが40代の80％近くであり、これ以外の年代では特定の傾向は見られません。

つまり呼吸器内科医師の場合は、40代で年収を一番多く得られることが分かります。

また地域別にみると、九州や沖縄、北海道などで高い年収を得ている傾向がありますが、その一方で中国や四国では年収は低い傾向があります。

都市部の関東では高額の場合もあれば低い場合もあるなど、比較的幅広く分布しており、特別な傾向は見られません。

求人数そのものは大都市圏で多いため、通常であれば、大都市圏の呼吸器内科医師の年収は低くなるはずですが、求人数の多さがそのまま年収に影響しているとも言い切れない状況です。

一般的な医師の年収に見られる、地方での高年収と傾向は異なるものの、暖かい地方や寒い地方で高年収を得やすいことは理解しておくべきでしょう。

転職コンサルタントの能力が必要

呼吸器内科での転職は、医療機関によって医師に求めるものが変化すること、そして都心部での求人が多いものの、年収に特定の傾向がないことに留意しなければなりません。

すなわち、求人先の要望をしっかり把握して応募しなければ成功する確率が低くなってしまい、なおかつ少しでも有利に転職を進められなければ高年収が望めないということです。

そのために重要なことは、転職サイトのコンサルタントに、求人先のニーズを正確に教えてもらうこと。

そして転職を有利に進められる転職先を探してもらうことでしょう。

これらは転職サイトのコンサルタントでなければ実現させることは不可能です。

転職サイトに登録し、有効なサポートをしてもらうことが呼吸器内科での転職を成功させるために最も重要なことと言えるでしょう。