狭き門の美容外科

美容外科の医師にはコミュニケーション能力が求められる

疾患を治療するのが医師本来の役目ですが、それとは異なる役目を担う診療科があります。 それが美容外科です。 美しさを追求する人の要望をかなえることが美容外科の役目であり、美容外科に勤務する医師には、通常の医療とは若干異なる要素が要求されます。 また保険診療ではなく自由診療になるため、勤務する医療機関の利益に寄与するためには、患者に対するコミュニケーション術も重要になってきます。 このような美容外科の転職事情とはどのようなものでしょうか。

クリニックでの標榜が多い美容外科

美容外科の医師数を確認できるのは厚生労働省による「必要医師数実態調査」ですが、平成22年度の調査によると、その時点での美容外科の常勤医師は59人、必要とする医師数は5人となっていました。

このデータだけを見ると、美容外科への転職は絶望的と考えるかもしれませんが、「必要医師数実態調査」は病院と分娩取り扱い医療所に限られています。

そのためクリニックは含まれておらず、病院で美容外科を標榜しているところだけの医師数ということになります。

正確な美容外科クリニック数は公表されていませんが、インターネットで美容外科を調べてみると1,000件以上のヒットがあり、非常に多くの医療機関が美容外科を標榜していることが分かります。

つまり美容外科を標榜している医療機関のほとんどは、クリニックなどの小規模医療機関であることが分かります。

美容外科医師に求められるもの

内科や外科などの一般的な診療科と大きく異なるのが、美容外科での医療行為は自由診療であり、保険の適用にならないということです。

そのため患者が診療や治療、手術などを受けてくれなければ医療機関には利益が出ません。

つまり美容外科の医師は、患者が治療や手術などを受けてくれるように働きかけるコミュニケーション力が非常に重要なのです。

これが上手くできる医師は非常に有能であり、医療機関からも重宝がられます。

もちろん美容外科領域での経験やスキルも要求されますが、患者が治療を受ける意志を固めなければその実力も発揮しようがありません。

美容外科医師の働き方と年収

美容外科の患者は疾病ではないため、手術時のトラブルなどが無い限り、急変する可能性も少なく、当直やオンコールなどの体制をとっていたとしても、実際に対応しなければならないケースはほとんどありません。

また急患もないため、残業なども少なく、QOLを確保しやすい状況であると言えます。
収入面では、一般的に他の診療科の医師より高額で募集されており、1,800万円以上の年収での求人も多く見られます。

これだけの高額になるのは、医師としてのスキルなどだけでなく、患者とのコミュニケーションを円滑にして手術などにつないでいけるからこそでしょう。

しかしながら、好景気になると患者は増えますが、景気が悪くなると患者数も減る傾向にあるため、それらが年収に影響してくることも覚えておきたいポイントです。

美容外科求人の地域傾向

一般的な診療科では、都市部よりも地方での医師不足が深刻であり、地方での求人で高年収が多く見られています。

しかしながら、美容外科では全く異なる傾向が見られます。

地方では求人そのものが少なく、都市部での求人が多い傾向にあり、しかも年収は高めになっています。

これは美容外科そのものが地方に少なく、都市部に多いことが反映されているのでしょう。

最も求人が多いのは関東で、次は関西の順になっています。

美容外科に転職しやすい医師とは

ではこのような高収入でQOLも確保しやすい美容外科で、転職しやすい医師とはどのような医師なのでしょうか。

一つは、美容外科の専門医資格を保有している医師です。

日本美容外科学会の専門医は、日本全国の美容外科医療機関と比較してあまりにも少ない数です。

美容外科医療機関が1,000以上あるのに比べて、専門医は250人ほどです。

つまり専門医が少ない現状であり、専門医資格を保有していれば、転職は非常にやりやすくなります。

また美容外科専門医以外で転職が有利なのは、形成外科や一般外科、皮膚科の医師ですが、近年ではコミュニケーション能力も重視されるようになってきています。

美容外科転職に際しての留意点

美容外科は大規模病院で標榜しているところは少なく、その多くはクリニックです。
つまり比較的小規模医療機関が運営しているわけです。

クリニックなどで勤務する場合に留意しておかなければならないのは、日常的に顔を合わせる院長と気が合うかどうかでしょう。

診療方針や患者に対しての姿勢などについて事前に把握しておかなければ、転職後に自分と考え方が違うとなると、勤務を続けることが厄介になってしまいます。

また美容外科での転職は、転職サイトを上手く活用しなければ、非常に難しいと言えます。

それは、美容外科では年収が高めで募集されていることもあり、求人が出るとあっという間に埋まってしまうからです。

また求人そのものも数が少ないため、激戦になると言っても過言ではありません。

転職サイトに登録し、コンサルタントに対して美容外科への転職を希望している旨を伝えておけば、求人が出た際には直ぐに対応してくれるはずです。

狭き門の美容外科転職には、転職サイトの有効活用が欠かせないのです。