医療機関が医師転職サイトを利用する意味とは

医療機関が医師転職サイトを利用する意味とは

医療機関の利用率が高まっている転職サイト

医療機関が医師転職サイトを利用する意味とは

医師不足が叫ばれるようになってから久しいですが、現在、医師不足に悩む医療機関は多く、非常に深刻な状況に陥っている医療機関さえあります。 どの医療機関も、医師がいなければ診療体制そのものが整えられず、標榜から医師のいない診療科を外すところもあります。 医師の確保が医療機関の大きな課題になっているため、医療機関も必死です。 2011年時点の日本病院会のデータでは、日本病院会に属する医療機関の56.7%が医師紹介会社、つまり医師転職サイトを利用しています。 また医師転職サイトの手数料は、平均で医師の年収の20%となっていました。 現在ではおそらく、以前より多くの医療機関が医師転職サイトを利用しているでしょう。 これだけ多くの医療機関が、年収の20%もの手数料を支払って医師転職サイトを利用している理由はどういうものなのでしょうか。

 

自治体の医師紹介機能は不完全

医師臨床制度の導入によって、それまで大学の医局が実施してきた医師の派遣が成立しずらくなっています。

これによって元々医師不足の現状がより厳しい状態になってきているわけですが、各自治体は地元の医療機関に対して医師を紹介できる機能を持った地域医療センターを開設するなどの施策を実施して対応しようとしています。

この施策にはキャリア形成や最新の医療技術を学ぶための研修なども含まれているため、紹介できる医師の経験やスキルなどは申し分ありません。

非常に信頼できる医師であると言えますが、行政にありがちな対応の遅さが課題です。
また地域のネットワークには地元の大学なども含まれているため、それに関わることを避けようとする医師がいることもネックになっています。

そのため、非常に優れた施策ではあるものの、医師不足を解消できるほど機能していないのが実情です。

医師転職サイトを利用する意味とは

自治体の医師を紹介する機能は不完全であるため、多くの医療機関は相変わらず医師不足に悩まされています。

そのため、医師転職サイトに頼らざるを得なくなっていましたが、今では多くのメリットがある医師転職サイトの方が主流になっています。

では、医師転職サイトを利用する意味やメリットとはどのようなものなのでしょうか。

必要な時に必要な医師を補える

転職サイトでは、求人情報をサイトに掲載するだけでなく、コンサルタントが求人情報と希望条件が合致している登録医師に対して提案していく形態をとっています。

これによって、求人情報公開から面接・採用までのサイクルが、自治体が行っている医師紹介機能よりも短くなるため、医療機関の医師を確保したいタイミングに合わせて必要な経験やスキルを併せ持った医師を確保できます。

スピーディーに対応してくれる

医師転職サイトは利益を追求する民間運営の組織であり、求人募集の意向があると、素早く動けば、それだけ早く利益を確保できることにもつながります。

また、機能面でも素早く対応できる仕組みになっていることも大きな要因になり、早い対応が実現できているため、医療機関にとって非常に使い勝手が良いと言えます。

一方、自治体の医師紹介機能は、これを実施して利益を上げることを目的としていないため、どうしてもレスポンスが悪くなりがちです。

医師一人でも真剣に対応してもらえる

冒頭でも記述した通り、転職サイトの手数料は採用になった医師の年収の20%が一般的です。

年収1,000万円の医師を採用させられれば、200万円の手数料が入るため、非常に大きな利益となります。

そのため医師一人だけの求人であっても、真剣に対応するのは当然でしょう。

自治体の医師紹介機能の場合は、地元地域で医師の不足度が高い医療機関から順に対応していくことになり、医師一人を紹介してもらうことは事実上難しいと言えます。

医師転職サイトを利用にもデメリットがある

医師不足に悩む医療機関が、医師転職サイトを利用するにあたっては多くのメリットがありますが、デメリットもあります。

高額な手数料が必要になる

転職サイトの手数料が、医師の年収の20%と非常に高額であるため、経営の苦しい医療機関にとっては大きな痛手になってしまいます。

一方、自治体運営の医師紹介機能ではこのようなことはありません。

スキルなどのレベルが分かりにくい医師を採用しなければならない

自治体運営の医師紹介機能では、紹介される医師の経験やスキルは、研修機能などもあるため間違いはありませんが、転職サイトに応募してくる医師の経験やスキルなどは、基本的に自己申告となります。

特にスキルは目に見えないものであり、判断するのは難しいと言えます。

不誠実な対応をする転職サイトも存在している

医師が求人掲載を依頼する転職サイトは、誠実な対応をするサイトやコンサルタントばかりではありません。

中には不誠実で、いい加減な対応をする企業もあるため、注意しなければなりません。

それでも医師転職サイトを利用しなければ補えない医師不足

医療機関が医師不足を解消するために利用する転職サイトには、メリットばかりではなく、デメリットも存在しています。

特に手数料の20%を支払わなければならないのは、医療費抑制で利益が少なくなりつつある医療機関にとっては大きなデメリットでしょう。

それでも医師転職サイトの利用は増えつつあるはずです。

それだけ医師不足は深刻です。

これは言い換えると、医師にとって転職するのに非常に良いタイミングであるとも言えます。

また、ほとんどの医療機関が利用している転職サイトを活用することは、多くの求人情報の中から好条件の求人情報を探し出すための、必須の手段であるとも言えるのです。