一生の収入を高めるための転職とは？

一時的な年収でない医師の生涯年収という考え方

医師が転職する際の利用として最も多いのが収入を上げたいというものです。 日頃の激務や責任の重さなどを考えると、それに見合っただけの収入が欲しいと考えることは当然でしょう。 そして、収入を上げるために転職したはずの医師たちは、その後満足しているかというと、実は不満を抱えている医師も多いのです。 もちろん、転職先の条件が当初と違ったなどということではありません。 転職の際にしっかり確認した通りの収入を得ていても、不満を感じ、転職を繰り返している医師も多いのです。 どうしてこのようなことになるのでしょうか。

一時的な年収アップが目標になってしまった転職

医師が今より収入を上げたいと考えた時、短絡的に考えれば、まず転職が思い浮かぶでしょう。

例えば現在は1,000万円の年収を1,200万円に上げられる医療施設があったとしたら、すぐに転職してしまうのでしょうか。

実はここに落とし穴があるのです。1,200万円に年収が上がったとしても、その後昇給する機会がなければどうなるでしょう。

ある程度の年齢まで働き続けても昇給せず、しかもそのまま高齢になるまで働き続けると必然的に年収も下がっていくことが予想されます。すなわち1,200万円を最大年収として、あとは下がっていくだけになります。

これは目先の年収を上げることだけを転職の目標に据えていることが大きな原因です。

では一時的な年収アップでない、別の目標設定とはどのようなものでしょうか。

生涯で得られる収入の視点で転職を考える

医師は専門医の資格取得などによって収入は大きく変化します。

また経験を積み、管理職的立場になると、それなりの収入も付いてくるはずです。一時的に年収が上がったとしても、専門医資格などを取得できず、オペの経験も増えない、管理職経験もないとなると、その時点でキャリア形成ができない状態になってしまいます。

一方、もし一時的に年収が低くなっても専門医資格が取得でき、十分な経験を積むことができて医師としてのキャリアアップにつながる医療施設で働くのであれば、医師としての価値は相当高まるはずです。

つまり、一時的な年収だけに飛びつくのではなく、医師としての生涯で得られる収入を考えていくべきではないでしょうか。

生涯年収を高めるための転職に必要なこととは

では一時的な年収ではない、医師としての生涯の収入を視点にした転職に必要なこととは、どんなことなのでしょうか。

転職先で何を得るのかを明確にする

転職先を考える際、最も重要なことは、その転職先で医師として何を得ようとするのかを明確にすることです。

専門医資格やオペ症例数、管理職経験など、医師によって色々な目標設定ができるはずです。それを得ることができれば、必ずキャリアアップにつながっていくはずです。そして、その目標に到達するには何年必要かも自身で定めておくべきでしょう。

自分なりのキャリアプランを立てておく

一ヶ所の医療施設でも多くの知識や経験などを得ることができるでしょう。

ですが、それだけで医師としてのキャリアが十分かどうかは別問題です。最初に設定した目標を得ることができれば、キャリア形成のために次の目標を設定していくべきではないでしょうか。

そのためにも自分なりにキャリアプランを立て、それに従って転職先を探せば、おのずとどんな所に転職すべきかが見えてくるはずです。

自分の価値を冷静に判断する

一般的に医師が優位に転職を進められるタイミングは4つあると言われています。

このタイミングは医師の転職市場のなかでも価値が高まる時です。つまり、これ以外のタイミングでは価値が下がってしまうため、転職を優位に進めることは難しく、自分自身の価値を冷静に判断しておく必要があります。

最初のタイミングとしては臨床研修が終わったタイミングです。

この時点ではまだ専門性も明確でなく、経験も豊富とは言えないものの、新人としての価値は高いものがあります。
次のタイミングとしては専門医資格を取得した時です。

専門医資格は民間の医療施設では患者を集めるための強力なポイントになるため、価値が高まります。

その次のタイミングは専門医のキャリアを積んだ時です。特定分野の専門医として相当数の症例数やオペ数をこなした場合には、医師としての価値が高いと言えます。

そして最後が管理職などの経験を積んだ時です。部下を抱える部長職などを経験すると、組織単位で任せることができるため、価値が高くなったと言えます。

転職はポジティブなもの

職場環境や収入などに不満があり、それだけが理由で転職を考える医師も多いと思います。

ですがネガティブな要因だけを転職理由にしてしまうと、どんな勤務先でも満足できるところはありません。

転職とは医師としての生涯収入のためのものとポジティブに捉えることができれば、必ずキャリアアップにつながっていくはずです。