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本来、整形外科は診療領域や治療領域が非常に広く、受診患者が多い診療科です。 また受診患者数でいうと、内科と双璧を成すほどです。 それが近年の高齢化によって、より多くの需要を抱えるようになってきています。 それゆえ、整形外科に転化する医師も増えてきており、注目されている診療科であるとも言えます。 整形外科への転科の実情と需要が高まっている背景についてご説明しましょう。
高齢化社会の訪れによって、運動機能に問題を抱えた高齢者が増えてきています。
これらの人々は普通の社会生活が送れるよう、またQOLが向上するよう、整形外科に通うことになります。
それに加えて、近年ではスポーツ医療に対する需要の高まりも重なっているため、整形外科を受診する患者が増えてきています。
この状態は近年では顕著になってきており、整形外科を診療科に加える医療機関も増えつつあります。すなわち、整形外科の医師を雇用する受け皿が増えてきているということでもあります。
ですが医師不足の基本的な状況は変わらないため、他の診療科から整形外科への転科の期待も高まっていくでしょう。これはつまり、整形外科での転職、転科を考えている医師にとっても有利な状況になりつつあると言えます。
高齢化に伴って起こる問題の一つに、内科関連の疾患が挙げられます。
整形外科に限らず、多くの診療科で内科疾患を有する患者が増加し、常に内科的な対応を求められる事が一般的になっています。
内科の治療を施す必要はありませんが、内科的症状をコントロールしながら、リハビリや手術ができる医師が求められてくるでしょう。
整形外科への転科を考えるのであれば、内科の知識や経験があれば、転科には有利に働きます。
整形外科では麻酔に関する知識も求められます。
整形外科に限らず一般外科の手術では、麻酔科医が不在のケースがあります。
その場合、執刀者や補助者が麻酔管理をするため、麻酔に関して専門性の高い知識や経験があるのは転科の際のメリットになります。
術中の全身管理についてしっかりと理解し、麻酔を有効活用できる整形外科医に対する需要は高まっていくでしょう。
高齢化によって増えてくる患者に対する診療は、診療や治療技術だけでは十分とは言えません。
高齢者とのコミュニケーションが必須となってきます。
つまり、患者の話に耳を傾け、親身になって対応する医師が患者受けもよく、医療機関にも重宝されます。
今後の整形外科医には、患者とのコミュニケーション能力が必要な時代になってきたと言えます。
整形外科へ転科するにあたり、問題になるのが手術です。
手術に関して専門的な技術が無い場合には転科が難しい事もあります。体力や年齢的問題もありますが、手術経験が無い医師が整形外科に転科をするには受け入れ先病院の理解が必要となるでしょう。
このため、ある程度手術を日常的に行う診療科から整形外科へ転科するのが現在の医療制度を考える上で現実的な選択肢ということができるでしょう。
一般外科で行われている内視鏡の技術はそのまま整形外科手術に活かせる場合もあります。整形外科に転科を考えるのであれば、自分の診療科の技術が整形外科領域でどう活かせるのかを考えておくべきでしょう。
今後日本はますます高齢化が進みます。
その状況を考えると、整形外科は今以上に需要の拡大が予想され、整形外科医師を求める医療機関も増えていくはずです。それだけ転科もしやすくなり、転職も有利な状況で行えるようになっていくはずです。
医師にとって転科は非常に勇気が要る決断です。
もし整形外科への転科を考えるのであれば、有利な状況で転科できるタイミングを逃さないことが重要ではないでしょうか。