医師の転職回数の多さは不利に働くのか

医師の転職回数の多さは不利に働くのか

経験豊富な医師なら問題ない

医師の転職回数の多さは不利に働くのか

近年では医師の転職は珍しいことではなくなりつつあります。 特に臨床研修制度が導入された以降は、早い段階で医局から退局する医師も多く存在しており、転職そのものをキャリアアップにために有効活用しているケースもあります。 これらは医師の転職では当然あるべき姿なのですが、その一方で、転職を重ねてきたことは次の転職の際に不利に働くのではないかと懸念する医師が多いのも事実です。 実際に転職する際には、今までの転職回数の多さは不利に影響するのでしょうか。

 

転職回数の多さを懸念する意味とは

転職の多さが不利になるのかどうかを懸念するのは、今までに何度も転職しており、次に転職する際にこれらの転職回数が影響してしまい、転職が難しくなってしまうのではないかと心配するということでしょう。

これにはいくつかの要素があります。

一つは職場を変えてしまうことに全く抵抗がない、医師の仕事に対して真摯に取り組んでいない人物だと思われるのではないかということ。

そしてもう一つは、医療機関側の事情で退職している、すなわちクビになっているのではないかと思われてしまうということでしょう。

もちろん短期間に転職を繰り返していたり、転職回数が年齢と比較して多すぎる、医療機関都合での退職によって転職を繰り返しているなどの場合には問題であり、今後の転職に差し障りは出てきます。

しかしながらそうでない場合の転職であれば、懸念する必要は全くありません。

医師が転職を重ねるということ

終身雇用が一般的だった時代には、転職を繰り返している一般職の求職者に対して何らかの疑念を抱くことは当然だったかもしれません。

終身雇用が崩れた現在でも、一般職の人が転職を重ねている場合には同様の疑念を持たれるケースもあるでしょう。

しかしながら医師の転職は一般の職業と同じ概念はあてはまりません。

特に医局に属している場合、医局人事によって関連病院を次々と移っていくことは知られています。

専門医資格を取得するために該当する症例が多い医療機関に転職するケースもあります。

キャリアを積むために転職を重ねることもあるでしょう。

また転科する場合には、以前の診療科における転職回数に付加して、キャリアを積むための転職が必要になる場合もあります。

そして医師不足の現在では、医師の転職が地域による医師の偏在をカバーすることにもつながっていることは、医療関係者であれば誰もが知っている事実です。

すなわち、医師の場合には転職回数の多さが、医師としてのモラルや人格、スキルなどを否定する要素にはなり得ないのです。

医師の転職で問われるものとは

上記のように医師の転職は、転職回数で医師としての資質を問われるものではありません。

では医師の転職において、何が最も問われるのでしょうか。

それはすなわち、転職の意味です。

何のためにどんな転職をしたのかが問われるということでもあります。

例えば、専門医資格を取得するための特定症例の多い医療機関への転職であったり、同じ診療科の中でも特に革新的な技術などを持っている医師の下への転職、あるいは転科に伴ったキャリア構築のための転職など、医師としてキャリアアップにつながる転職や自らの経験やスキルを向上させるために必要な転職であれば、問題視されることはありません。

それどころか、その努力や姿勢を褒められる場合がほとんどです。

これら以外にもあまりの激務に疲れ、家族とのつながりやプライベートを重視するために、QOLを確保できる医療機関に転職したなどの場合も、問題視されることはないでしょう。

つまり、医師として何らかの目的意識があり、その目的を達成するために転職を重ねてきたのであれば、どのような医療機関に転職する際にも悪影響は無いということです。

経験の少ない医師の転職は要注意

これまで記述してきたことは、ある程度の経験がある中堅医師の転職に際して該当する内容です。

では、経験が少ない若手医師の場合はどうでしょうか。

医師の仕事は医師資格があればそれだけで通用する世界ではありません。

経験を積み、多くのスキルを持ち、専門医資格を保有するまでにはそれなりの時間が必要になります。

特に若い医師の場合には、十分な知識やスキルを得る前の段階で転職することは、不利になりかねません。

もちろん転職そのものは不可能ではありませんが、良い条件での転職は困難になってしまいます。

また医療知識や経験、スキルを向上させることもできなければ、医師としてのキャリアに大きく影響してしまいます。

専門医資格も取得することができず、生涯年収は低くなり、アルバイト医師としてだけしか働くことができなくなってしまいかねないのです。

そのため、若手医師の転職には特に注意が必要です。

では、このような若手医師が転職する際にはどんなことに留意しておかねばならないのでしょうか。

それは多くのスキルアップができ、医師としてのキャリアをアップさせることができる設備や教育体制などが整った医療機関に転職することです。

そこで改めて教育を受けることで、医師としてのキャリア構築につながっていくはずです。

しかしながら若手医師がこれらのことを、独自で動いて該当する医療機関を探し出し、転職を成功させることは並大抵のことでは不可能でしょう。

このような条件に該当する医師の転職こそ、転職サイトを活用し、コンサルタントのアドバイスに耳を傾けながら取り組んでいくべきでしょう。