売り手市場である脳神経外科医師

売り手市場である脳神経外科医師

働き方が大きく二分される

売り手市場である脳神経外科医師

外科領域の診療科の中でも、難易度が高く、高いスキルや経験が要求される脳神経外科は、常に手術をしているイメージが付きまとっています。 しかしながら、手術には技術だけではなく体力も必要であり、QOLを犠牲にしている面もあるはずです。 脳神経外科医は手術が必要な医療機関で勤務するしかないのでしょうか。 もっとQOLを重視した働き方はできないのでしょうか。 脳神経外科の転職事情についてご説明しましょう。

 

医師不足が深刻な脳神経外科

脳神経外科領域の疾患は、手術を要するケースでは一刻も早い処置が必要であり、それが患者の生命にかかわってくる場合があります。

このため脳神経外科医は非常に責任が大きく、それを医師としての本分と考えている人も多く見られます。

しかしながら、これらの対応が必要であるということは、急患対応やオンコールなどに対応しなければならないということでもあり、少なからず医師のQOLを犠牲にしているとも言えます。

加えて、外科研修が必須ではなくなったことも影響して、若手医師の外科離れが加速している状態です。

厚生労働省による平成22年度の必要医師数実態調査では、脳神経外科医の必要医師数は999人となっており、外科領域の中で整形外科、一般外科に次いで三番目に不足している診療科です。

すなわち、脳神経外科は医師不足が深刻な診療科と言えるのです。

脳神経外科医師を求める医療機関の傾向とは

若手医師が脳神経外科を選ばなくなっただけでなく、近年の高齢化によって増えてきた脳疾患の患者に対応するため、各医療機関の脳神経外科医師に対するニーズはいっそう高まりを見せています。

特に、脳疾患手術に対応する急性期病院、そして術後の診察、リハビリに対応する医療機関の二つでのニーズが高まっています。

どちらも非常に深刻な医師不足であるため、転職に際しては希望条件が通りやすく、待遇も好待遇が期待できる状態です。

急性期病院への勤務について

脳神経外科医が急性期病院に転職する際、理解しておくべきポイントはどのようなものなのでしょうか。

急性期病院に勤務する意味とは

脳神経外科領域での急性期医療機関からの求人では、専門医だけでなく、後期研修医まで幅広い層を求めており、なおかつ多くの求人があります。

これは若手医師の外科離れと高齢化による脳神経外科医師の不足を如実に表しているものですが、この多い求人はスキルを向上させたい脳神経外科医にとって非常に好都合とも言えます。

特にバイパス手術やシャント手術など、脳神経外科医として是非身に付けておきたいスキルを向上させることができます。

急性期病院への転職時の留意点

急性期病院への転職の一番のメリットは、脳神経外科医師に必要なスキルを身に付けられることだけでなく、専門医資格を取得しやすい環境にある場合がほとんどという点です。

そのため転職に際しては、過去の専門医取得はどの程度あるのか、転職を考える医療機関の指導体制はどうなっているのかなどを事前にしっかりと調べておく必要があります。

特に常勤医師数が多いなどの場合、医師一人が担当できる症例数が少ないケースもあるので、注意が必要です。

リハビリ病院や脳ドッグなどへの勤務について

では、脳神経外科医がリハビリ病院や脳ドッグなどに転職する際、理解しておくべきポイントはどのようなものになるのでしょうか。

リハビリ病院や脳ドッグなどに勤務する意味とは

脳疾患の術後には後遺症が発現する場合もあり、脳神経外科医師は、このような時のケアにも対応しなければなりません。

このようなケアは、リハビリ病院や脳ドッグなどの脳神経外科医師が対応しますが、救急対応や手術はなく、内科的な診察やリハビリなどがメインとなり、ケアも長期間になる場合がほとんどです。

そのため時間的にゆとりを持って対応できるだけでなく、医師自身のQOLも確保しながら勤務することができるのが特徴となります。

リハビリ病院や脳ドッグへの転職時の留意点

このような医療機関に転職する際に留意しておきたいことは、リハビリに関わる理学療法士や作業療法士の勤務人数や脳神経外科医師との連携はどのようになっているのかです。

これらが十分に整っていない環境では、十分なリハビリ効果を期待することができないだけでなく、医師の指示が的確に実施されないケースもあります。

また転職を考える医療機関で、リハビリ認定医や専門医の資格が取得できるのかどうかも確認しておくべき事項です。

なお医師がスタッフに対して教育しなくてはいけないケースもあり、これらの医療機関に転職する医師には指導力やリーダーシップが求められることを理解しておきましょう。

売り手市場だからこそ転職先を慎重に見極める

脳神経外科領域は非常に医師不足が深刻であり、医療機関では若手医師から専門医まで、幅広い層の医師を求めています。

すなわち脳神経外科医師の転職は、売り手市場と言え、勤務条件や待遇面でも好条件や好待遇が期待できるはずです。

しかしながら医師としてのキャリアを考えた際、転職先を条件や待遇だけで選んでしまった場合、マイナスに働くケースもあります。

売り手市場だからこそキャリアプランを構築して、そのために最も良いと考えられる転職先を選ぶべきではないでしょうか。